痔に対する硬化療法とは
モリコーンという新しく開発された肛門鏡を使っての硬化療法です。
この方法での硬化療法は前の日からの準備も絶食の必要もなく、外来で無麻酔で約10分から15分で治療できます。
もちろん入院の必要はなくそのまま歩いて帰宅できます。
この器械には痔動脈の位置を音で知らせるドプラー血流計が埋め込まれており、硬化剤であるパオスクレーを確実に痔動脈周囲に注入できます。
従来の硬化療法は痔の中に入れていたため、痛みや腫れがありましたが、この器械を使うことで無痛領域の直腸粘膜下に確実に安全に注入できるようになり、治療の効果もあがりました。
硬化療法の成績は200回を125名の痔の患者さんにおこなった検討から、平均1.6回で9割の人の症状を改善もしくは消失させていました。
痛みや出血の合併症もわずかでした。
アンケート調査からも80%以上の方が治療とその結果に満足しておられるとの結果が出ています。
硬化療法 スケジュール
硬化療法の治療スケジュールは以下のとおりです。
経 過 | 硬化療法 | 診 察 | 点 滴 (抗生剤+止血剤) |
初診 | 第1回 | ○ | ○ |
1週 | ○ | ||
2週 | 第2回 | ○ | ○ |
3週 | ○ | ||
4週 | 効果測定 | ○ |
※ 硬化療法は 2週間ごとに追加する
硬化療法 施行症例
硬化療法の施行症例は以下のとおりです。
平成22年9月1日~平成29年12月31日
手術名 | 手術数 |
硬化療法 | 3930例 |
Braatz法併用 | 204例 |
痔核根治術 | 1687例 |
痔瘻根治術 | 228例 |
その他 | 502例 |
合 計 | 6551例 |
※その他:肛門周囲膿症・肛門疣・肛門ポリープ・裂肛など
硬化療法の比較
従来の硬化療法 | モリコーンを使用した 新しい硬化療法 |
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まとめ
内痔核に対するモリコーン使用の新しい硬化療法
- 内痔核患者125例(平成10年9月~平成12年5月)に対して、200回の硬化療法を外来にて施行した。
- 硬化療法による合併症はほとんど皆無であった。
治療効果は、直接的判定では改善以上が90%であり、患者の自覚症状による間接的判定でも95%以上に改善が認められた。 - モリコーンを利用した硬化療法は従来の方法とまったく違い、簡便・安全に合併症もなく施行できる新しい治療方法と考える。