Q&A

インターネットで病気の相談も受けています。
これまでのよくある質問をまた述べてみたいと思います。
皆様のご参考になれば幸です。

中西医院  中西幸造

q 痔とは何ですか?
a とは肛門およびその周囲の病気の総称したものです。

最初、中国では峙(じっととどまる)という漢字でしたが、しだいに痔(腫脹する病変)になりました。
寺とか仏教には関係はありませんが、痔は寺に入るまでつまり死ぬまで治らないと、人間は昔からこの痔に悩まされてきました。
痔には大きく分けると、

・直腸肛門の血菅の部分が膨れあがる痔核(いぼ痔)
・固い便により肛門の上皮が裂けてしまう裂肛(切れ痔)
・細菌が侵入して膿がたまる肛門周囲膿瘍(はれ痔)
・肛門周囲膿瘍(はれ痔)の後におこる痔瘻(あな痔)

があります。

q 痔はどうしておこるのですか?
a 痔核というのは血管の故障です。

痔静脈叢という網の目のような血管が腫れ、静脈瘤になったものを痔核とかイボ痔とか呼んでいます。
便秘などで強く踏ん張ったり、固い便が通過する時に肛門の周りと便がこすりあわされることでができてしまいます。
さらにそこに細菌が入ったりして様々な症状が起きてきます。
これがです。

q 便をするたびに痛みと出血があるのですが?
a 多くは裂肛(切れ痔)です。

多くは便秘による固い便で、肛門の皮膚の部分が裂ける裂肛(切れ痔)です。
排便の時の強い痛み軽度の出血が特徴です。
3分の2以上の方が保存的療法(薬や便秘を治すなど)で治ります
ただし慢性化して潰瘍になったり肛門が狭くなった場合は手術が必要となります。

q 急に肛門に痛みと腫れ・しこりのようなものができたのですが?
a これは血栓性外痔核でしょう。

スポーツのあとや重いものを運んだりとか、急に肛門に強い力が加わった拍子にできることがしばしばです。
大きさは2から3mmのものから親指の頭くらいまで様々で境界ははっきりしています。
治療は手術ですが、なかの血の塊を取り除くだけで10分くらいですみます。

q 肛門がいつもかゆい・便が残った感じがする・長く座ると痛みが出る
a 内痔核(イボ痔)の症状です。

長い時間のすわりや立ち状態で肛門のうっ血がおこり、その刺激がかゆみとか痛みとしてあらわれます。
この時期の痔核は軽いほうですから硬化療法といった切らないでの痔の治療が可能です。

q 肛門のかゆみがひどくかきむしりたくなるのですが?
a 肛門掻痒症といいます。

原因の1番多くは便がきれいに拭き取れていないことです。
排便後にお湯で洗うのが最善です。
かといって石鹸を肛門に直接つけて洗うのはやめましょう。
素人判断で市販の薬を塗ることでますます病状を複雑にし、かぶれがひどくなる方がおられますのでご注意ください。

q ゴルフの途中でいつも肛門からでてくるのを、そっと押し込んでいる
a これは脱肛という状態です。

ボールを叩く瞬間に肛門にぐっと力が入りうっ血した痔がスイングのたびに押し出されてしまう現象です。
ゴルフも痔を治されてから楽しまれたほうが良いでしょう。

q 肛門がはれていたい、座れない、熱もでてきた
a 肛門周囲膿瘍です。

これは直腸と肛門上皮の堺の歯状線に開孔する肛門腺にばい菌が入って化膿し、膿がたまっている状態です。
これは切開して、膿を出す手術が必要です。
さらに繰り返しておこる膿瘍や肛門内のトンネルがはっきりする場合は必ず、痔瘻になってしまいますから痔瘻根治術をしてしまうこともあります。
ゴムをかけて痔瘻を治療するSeton法なら入院をせず、仕事も継続してできますのでご相談ください。

q 肛門にイボあるいはできものがあり、時々 痛みと出血があるのですが?
a 女性に多い症状で、肛門の皮膚のいぼ状突起です。

たいてい12時か6時にあり大きさも数ミリから数センチの大きさの方までいろいろです。
治療は小さい場合の症状は軟膏をつけて治りますが、それでも治らない時には切除です。
当院ではいきなりは切らずに粘膜の縫縮術をして治療しております。

q 肛門からいつも汁が出て周りがただれ、時々赤い粘膜が出て指で押し込んでも出てくるのですが?
a これも粘膜脱の症状です。

ひどくなると直腸脱といって肛門から5センチ以上も出てくることがあります。
高齢者で肛門括約筋がゆるんだ方におこります。
この治療は、以前ではガントー三輪法といって粘膜を縫縮させた後、肛門をナイロンの糸などで絞める手術が行われてきましたが、最近はPPHの粘膜輪状切除(ロンゴ法)も広く行われてきました。
若くして直腸脱の人には再発率の少ない直腸の吊り上げ・固定術を行っています。

q 肛門の周囲に粟粒から米粒大のできものができたのですが?
a これは尖圭コンジローマといって乳頭腫ウイルスが原因のイボです。

性病の1つと考えてもらったほうがいいものです。
あなたのパートナーにもうつる可能性がありますから、直ちに正しい治療を受けられる必要があります
治療はイボを凍結・焼却凝固したり切除もありますが、ポドフィリンという薬を塗って治すこともできます。

q 健診での便潜血が陽性に出たのですが?
a 自分で痔だろうと決め付けずに早期の検査が必要でしょう。

便の潜血反応はオルトトリジン法が一般的です。
この反応が陽性ということは便中のヘモグロビンに反応しており感度は高くて食事中のヘモグロビンにも反応します。
検査前の食事制限をしても陽性なら口から肛門までの消化管のどこからかに出血があるということです。
肛門の痔でも当然、出血して潜血が陽性に出ますが、自分で痔だろうと決め付けずに大腸の検査・大腸ファイバーを受かられたほうが良いでしょう。
出血の原因には腸の炎症やポリープもありますがのこともありますので早期の検査が必要です

q 痔の治療は痛いと聞いていますが、手術でしかないのでしょうか?
a 最近は痛みも軽くなってきております。

最近は麻酔の方法や鎮痛剤の改良で、術中はまったく痛みもなく術後も痛みは軽くなってきております。
手術も日帰り手術で入院の必要もなく可能です。
また、内痔核では従来の結紮・切除術の替わりにモリコーンを使った硬化療法は切らずに治す痔の治療としてお奨めです。

q 治療費はいくらかかりますか?
a 痔の治療費は保険医療です。

痔の治療費は保険医療ですから、自己負担は、3割負担の方で
硬化療法の場合 20,000円以内
痔核根治術の場合 20,000円~30,000円
入院での治療の場合 100,000円~200,000円

くらいかかります。

q 痔の日帰り手術とは?
a 肛門領域の治療で日帰り手術はもうすでに一般的になっております。

当院でも開院から多くの治療を日帰り手術で行いました。
対象は痔瘻・痔核・裂肛・直腸脱・外痔核肛門周囲膿瘍などなどですが合併症もなく治療できてきました。
手術時間は15分から30分で麻酔は下半身のまったく痛みのない脊椎麻酔か仙骨硬膜外麻酔で行います。
術後2から3時間後に麻酔が醒めて足が動けるようになったら帰宅できます。
翌日は受診してもらい入浴も可能です。
仕事もたいていの方が2から3日後には勤務されておられます。
外来受診は週に2、3回を2、3週間ほどで終了となります。
痔でお悩みなら、肛門科に日帰り手術ですむかどうかもご相談ください。